七夕の夜は願い事を書いた短冊を笹の葉に飾ります。
願い事をそっと短冊にしたためて夜空にお祈りするなんてロマンチックですよね♪
しかし、この七夕の日。
なぜ短冊と笹の葉を使うのでしょう。
どんな由来があるのでしょうか。
七夕といえばおりひめとひこぼしの伝説も有名です。
1年に1度、七夕の日だけ会えるという話は有名ですが、この伝説の由来や出典も気になるところ。
ということで今回は、七夕の意味についてまとめました。
短冊と笹の意味や、おりひめとひこぼしの起源などをあらためてチェックしてみましょう。
七夕の由来
七夕というのは奇数の月と日が重なる五節句のひとつで、日本、中国、台湾、ベトナムなど各地でおこなわれている年間行事です。
七夕は「しちせき」ともいいます。
七夕はもともと中国の行事でしたが、奈良時代以降に日本に伝わり日本各地に広がりました。
しかし、七夕の起源は日本にもあり
「棚機津女(たなばたつめ)」
という風習が七夕の元になっているという説もあります。
棚機津女は天から降りてくる水の神のために織物を織るという行事で、選ばれた女性たちは水辺の小屋にこもり織物を織ります。
棚機女とは機(はた)を織る女性、棚機は機織り機のこと。
水の神が帰る日が7月7日だったために中国由来の七夕と融合しました。
そして、
「短冊に願い事を書きお願いする」
という点については、中国の乞巧奠(きこうでん)が元になっています。
しかし、時代が移り変わると共に女性のみの風習ではなくなり、手芸事以外の願いもするようになりました。
中国の節句、日本古来の棚機津女の行事、中国の乞巧奠などいろいろな風習が融合したものが現在の七夕といわれています。
なぜ笹と短冊を使うの?
七夕といえば大きな笹と願い事を書いた短冊を用意しますよね。
でもなぜ笹と短冊なのでしょうか。
笹を使うワケ
笹というのは昔から神聖なものとして扱われ、多くの神事や儀式に用いられてきました。
真っ直ぐに天に伸びる笹は生命力の象徴であり、笹には強い殺菌力があるので魔除けの意味合いもあります。
そのため笹は神様が宿る依り代として、七夕の行事に用いられています。
短冊の意味
そして短冊を飾るようになったのは元にある、
「乞巧奠(きこうでん)」
の風習が関係しています。
乞巧奠は裁縫や機織りの上達を願って糸を供える宮中の行事でしたが、徐々に宮中だけでなく庶民にも広がりとみせました。
しかし、当時糸というのは大変高価なものだったので、庶民には簡単に手に入れることはできません。
そこで糸の代わりに紙を細く切って供えるようになったのが短冊の起源といわれています。
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笹の葉と短冊を飾って七夕祭りを祝うようになったのは江戸時代のことで、これが一般に広がり各家家でも笹と短冊を飾るようになりました。
笹の葉に色とりどりの短冊と七夕飾りが飾られている様子は江戸時代後期に書かれた歌川広重の「市中繁栄七夕祭」にも残っています。
短冊の色の意味について
お祈りに使う短冊は色とりどりな印象がありますよね。
実はこの色にも意味があります。
もともとは乞巧奠の風習から来ているので、短冊ではなく寄り合わせた糸を使っていたのですが、その色には中国の五行思想にちなんだ色が付けられていました。
五行思想とは、
「万物は木・火・土・金・水の5種類の元素からなる」
という説のことで、5つの元素はお互いに影響し合い、循環することで世界は生滅盛衰といいます。
そして木・火・土・金・水にはそれぞれ色が振り当てられています。
木 | 春の象徴で木々の成長をあらわし、青か緑で表現される。 |
火 | 夏の象徴で、光り輝く炎をあらわし、赤で表現される。 |
土 | 季節の変わり目の象徴で、保護育成の意味があり、黄で表現される。 |
金 | 秋の象徴で、鉱物、金属、冷静、堅実をあらわし、白で表現される。 |
水 | 冬の象徴で水の流れや生命、霊性をあらわし、黒、紫で表現される。 |
このように短冊の色にもそれぞれ意味があり、五行思想における自然哲学を表現しています。
人によっては五行思想の色と風水学の色の意味合いを合わせ
「紫は学業の色なので学業の願い事の際には紫を使う」
などの使い分けをしています。
しかし、本来個人の願い事と短冊の色合いには関係がないので、
「この願いの場合はこの色を使わなくてはならない!」
といった決まりはありません。
五行思想では世界のあらゆるものはこの5色の元素で成り立っているという考えなので、5色の短冊を笹にバランス良く飾るのが良いでしょう。
おりひめとひこぼしの伝説
最期に物語で有名なおりひめとひこぼしの伝説について。
この伝説は中国の織女(しゅくじょ)と牽牛(けんぎゅう)の伝説が元になっています。
中国の六朝時代、梁代の官僚であった殷芸(いんうん)が著した書物には以下のような一説があります。
天帝はそれを不憫に思い、河西の牽牛(けんぎゅう)に嫁に出すことを許した。
しかし、嫁に行ったのち織女は機織りを辞めてしまう。
天帝は怒って河東に帰る命令を下し、1年に1度会うことを許した。
これがおりひめとひこぼしの伝説の元ですが、このまま子供に説明してもちょっと難しいですよね。
子供向けに優しく説明するのであればこのようにかみ砕いてはなすとよいでしょう。
昔、おりひめ様という女性がいて、お仕事を一生懸命頑張っていました。
それを見ていた神様は離れた場所に住んでいるひこぼし様と結婚させてあげることにしました。
しかし、結婚すると2人は遊んでしまい、仕事をさぼるようになってしまいました。
怒った神様は2人を離れ離れにしてしまいました。
しかし2度と会えないのはかわいそうなので年に1度だけ7月7日だけはおりひめ様とひこぼし様が出会えるように許してくれました。
決まり事を守らなかったり、お手伝いをさぼると悪いことが起きるという教訓にも使えそうですね。
(^^ゞ
まとめ
今回は七夕の意味について紹介しました。
七夕の起源が中国にあるということは有名な話ですが、中国の風習や日本古来の風習などがいくつも融合されて成り立っているオリジナルの行事だというのは意外ですね。
ちなみに七夕に降る雨を、
「催涙雨(さいるいう)」
といい、年に1度の7月7日に雨が降って会うことのできないおりひめとひこぼしが流す涙だといわれています。
ロマンチックなネーミングですね~。
今回は以上です。
ご参考になりましたら幸いです。
(*゚ー゚*)ノ